前回の「人を成長させる『褒め方』の極意(その1)」では、褒めるという行為の土台についてお伝えしました。
本日はその第2弾として、メンバーの意識と視座を劇的に引き上げる「具体的な比較の技術」について深掘りしていきます。
リーダーとして、言葉を発する前に一歩立ち止まり、その言葉を受け取った相手がどう感じるか、そして自分自身がどう映っているかを俯瞰して見る。この「視点の余裕」を持ちながら、今日の話を進めていきましょう。
1. 「誰か」と比較した瞬間に、信頼は崩れる
メンバーを褒める際、ついやってしまいがちなのが「同期の〇〇さんと比べて、あなたはよくやっているね」といった、他者との比較です。実はこれ、マネジメントにおいて最も避けるべき毒薬です。
なぜ、他者と比較してはいけないのか。理由は明確です。
- 情報の漏洩と不信感: 他者と比較して褒める人は、別の場所では自分のことも誰かと比較して下げているのではないか、という疑念を抱かせます。
- 心理的安全性の欠如: 常に「誰かと競わされている」というプレッシャーを与え、純粋な成長意欲を削いでしまいます。
そんな褒め方をされても、相手の心には響きません。それどころか、「この人は信頼できない」と心のシャッターを下ろされてしまう原因にもなりかねません。
2. 唯一の比較対象は「過去の本人」だけ
メンバーの意識を「ぐーん」と成長させるために必要なのは、「過去の本人」と「今の本人」を比べることです。
「正しい褒め方」の具体例
「Aさん、3ヶ月前のことを覚えているかな? あの頃は仕事がうまくいかないと、つい言い訳や愚痴が出てしまうこともあったよね。
でも、最近のあなたはどうかしら。新しいメンバーが増えた中で、自分の課題から逃げずに、自ら進んで取り組んでいる。その姿勢に、私は実はとても感動していました。
これは決して当たり前のことじゃない。あなたがこの3ヶ月で成し遂げた、本当に大きな『成長』だと思っています。私は、そんなあなたを誇りに思っていますよ」
このように、リーダーであるあなたが「相手の過去」をしっかり記憶し、その変化を認めていることを伝える。それだけで、メンバーとの会話の時間は「ただの業務連絡」から「自己肯定感を高める価値ある時間」へと変わります。
3. 成長のチャンスを見逃さないために
誰かと比べるのではなく、常に自分自身の軌跡を振り返ること。そして、その中にある微細な成長の兆しを見逃さないこと。これこそが、視座を高めるために必要なスタンスです。
リーダーの役割は、メンバーが「自分自身の更新」に集中できる環境を整えることにあるのではないでしょうか。
いかがでしたでしょうか。 「過去の本人」を基準にすることで、褒め言葉はより具体的になり、相手の心に深く根を張ります。ぜひ明日からの面談や声掛けで意識してみてください。
さて、次回はこのシリーズの完結編、**第3弾「褒めるを仕組み化し、組織の文化にする方法」**についてお話しします。
あなたのチームの成長を、これからも全力で応援しています!

